東京地方裁判所 平成4年(特わ)2310号 判決 1993年4月16日
本店所在地
東京都渋谷区広尾一丁目九番一六号
木場印刷株式会社
(右代表者代表取締役 東藤健)
本籍
石川県石川郡鳥越村字上吉谷ト一八六番地
住居
川崎市多摩区栗谷三丁目二四番六号
会社役員
東藤健
昭和九年六月二六日生
右両名に対する各法人税法違反被告事件について、当裁判所は、検察官蝦名俊晴、弁護人土屋東一各出席のうえ審理し、次のとおり判決する。
主文
被告人東藤健を懲役一〇月に、被告会社木場印刷株式会社を罰金一八〇〇万円にそれぞれ処する。
被告人東藤健に対し、この裁判確定の日から三年間その刑の執行を猶予する。
理由
(罪となるべき事実)
被告会社木場印刷株式会社(以下、被告会社という。)は東京都渋谷区広尾一丁目九番一六号(平成二年六月二三日以前は同都港区南青山七丁目四番一七号、平成元年一〇月三一日以前は同都渋谷区広尾三丁目一二番四〇号)に本店を置き、オフセット印刷及び連続伝票印刷等を目的とする資本金一〇〇〇万円の株式会社であり、被告人東藤健は、被告会社の代表取締役として被告会社の業務全般を統括しているものであるが、被告人東藤健は、被告会社の業務に関し、法人税を免れようと企て、架空仕入れを計上するなどの方法により所得を秘匿したうえ
第一 昭和六一年一二月二一日から同六二年一二月二〇日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が八八九〇万五四六一円(別紙1の修正損益計算書のとおり)であったのにかかわらず、昭和六三年二月一八日、東京都渋谷区宇田川町一番三号所轄渋谷税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が五七三五万二一五一円で、これに対する法人税額が二二六八万五八〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、そのまま法定納期限を徒過させ、もって不正の行為により、被告会社の右事業年度における正規の法人税額三五五八万三二〇〇円と右申告税額との差額一二八九万七四〇〇円(別紙2の脱税額計算書のとおり)を免れ
第二 昭和六二年一二月二一日から同六三年一二月二〇日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が一億〇二四一万一八〇三円(別紙3の修正損益計算書のとおり)であったのにかかわらず、平成元年二月一七日、東京都目黒区東山三丁目二四番一三号所轄渋谷税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が四二一五万二二一三円で、これに対する法人税額が一六六三万五六〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、そのまま法定納期限を徒過させ、もって不正の行為により、被告会社の右事業年度における正規の法人税額四一八四万六八〇〇円と右申告税額との差額二五二一万一二〇〇円(別紙4の脱税額計算書のとおり)を免れ
第三 昭和六三年一二月二一日から平成元年一二月二〇日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が一億六二六七万一六〇八円(別紙5の修正損益計算書のとおり)であったのにかかわらず、平成二年二月一六日、東京都港区西麻布三丁目三番五号所轄麻布税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が四六九一万八五八九円で、これに対する法人税額が一八五七万四二〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、そのまま法定納期限を徒過させ、もって不正の行為により、被告会社の右事業年度における正規の法人税額六七一九万〇五〇〇円と右申告税額との差額四八六一万六三〇〇円(別紙6の脱税額計算書のとおり)を免れ
たものである。
(証拠の標目)
判示全事実につき
一 被告人東藤健の当公判廷における供述
一 被告人東藤健の検察官に対する供述調書(九通)
一 西島哲の検察官に対する供述調書
一 大蔵事務官作成の売上高調査書(検甲1)
一 大蔵事務官作成の仕入外注費調査書(検甲3)
一 大蔵事務官作成の給料手当調査書(検甲6)
一 大蔵事務官作成の接待交際費調査書(検甲7)
一 大蔵事務官作成の交際費損金不算入額調査書(検甲13)
一 検察事務官作成の報告書二通(検甲2、8)
判示第一、二の各事実につき
一 検察事務官作成の報告書(検甲15)
一 検察事務官作成の電話聴取書(検甲31)
判示第一の事実につき
一 検察事務官作成の報告書(検甲4)
一 押収してある法人税確定申告書(62/12期)一綴(平成五年押第六七号の1)
判示第二、第三の事実につき
一 大蔵事務官作成の同業者仕入高調査書(検甲5)
一 大蔵事務官作成の雑費調査書(検甲9)
一 検察事務官作成の報告書三通(検甲10、12、14)
判示第二の事実につき
一 押収してある法人税確定申告書(63/12期)一綴(同号の2)
判示第三の事実につき
一 大蔵事務官作成の受取利息調査書(検甲11)
一 検察事務官作成の電話聴取書(検甲32)
一 押収してある法人税確定申告書(元/12期)一袋(同号の3)
(法令の適用)
被告人東藤健の判示各所為は、いずれも法人税法一五九条一項に該当するところ、各所定刑中いずれも懲役刑を選択し、以上は刑法四五条前段の併合罪であるから、同法四七条本文、一〇条により犯情の最も重い判示第三の罪の刑に法定の加重をした刑期の範囲内で同被告人を懲役一〇月に処し、情状により同法二五条一項を適用してこの裁判の確定した日から三年間右刑の執行を猶予することとする。
さらに、被告人東藤健の判示各所為は被告会社の業務に関してなされたものであるから被告会社については法人税法一六四条、一五九条一項の罰金刑に処せられるべきところ、情状により同条二項を適用し、以上は刑法四五条前段の併合罪であるから同法四八条二項により合算した金額の範囲内で被告会社を罰金一、八〇〇万円に処することとする。
よって主文のとおり判決する。
(求刑・被告人東藤健に対し、懲役一〇月、被告会社に対し、罰金二、五〇〇万円)
(裁判官 伊藤正髙)
別紙1
修正損益計算書
<省略>
別紙2
脱税額計算書
<省略>
別紙3
修正損益計算書
<省略>
別紙4
脱税額計算書
<省略>
別紙5
修正損益計算書
<省略>
別紙6
脱税額計算書
<省略>